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妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

泥田坊のせい

『妖怪へぇこいたの手記』

田返せ田返せ時間を返せ。

光陰矢の如しとはよく言ったもので、とある方からあまりにもこのブログが更新されないもんだからと「入院してますか?」とメールを頂き、ハッと我に返って見れば二か月ほど放置してしまっていた。

ちょっと仕事でまた偉くなって多忙になったのもあるけれど、それよりもこういう時は便利な妖怪さんに背負っていただくことにしたいので、とにもかくにも全ては泥田坊のせい、なのである。

 

ブログなんてもんは当たり前だけれど習慣的に書き続けていなければ、ふとしたきっかけで全く書かなくなるなんてことが割とある。と思う。僕は。

最後に書いたのがぬっぺっぽうの絵解きで、次は泥田坊にしよう、と思っていたのだが、

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何を隠そう、背後の石に描かれた文字の解読ができないが為だけに、頓挫する日々が続いていた。

そして、こうなってしまったわけで、やはり全ては泥田坊のせいなのだ。

 

さて話は変わるが、ここのところずっと池波正太郎の小説を読み漁っていて、最初はタイトルだけで手に取った短編集きっかけにどんどんハマり、じじいが見てたからって敬遠してた有名時代劇の数々が池波正太郎の作だと初めて知った。

で、連作ものに手を出して、つい最近、通勤時間のみを使って『剣客商売』を全巻読み終えた。

結構な数あったけれど、なるほど誰かが言っていたように、マンガ感覚に近い面白さでガンガン読めてしまった。

剣客商売読んだ後は、とりあえずどこへ行っても、店員さんに「たっぷりとこころづけを」渡したくなる。読めばわかる。

 

次は途中で購入してた他の短編集やらを読んだ後に、じいちゃんが大好きな鬼平犯科帳を読もうと思っている。

 

で、気付いたのだが、江戸時代とか、古き良き日本とか、そんなのがどうやら僕はツボらしいのだ。

妖怪だって考えればモロにソレである。

学生の頃、ほんの少しの期間ではあったが司馬遼太郎にはまったことがあったのも、やはり僕の好みに合致していたからなんだろうと思う。

京極夏彦の作品でも、昭和が舞台の京極堂のシリーズよりも、江戸時代の巷説百物語シリーズの方がやっぱり好きなのも、今更ながら納得なのである。

 

そういえば『剣客商売』に、江戸時代が舞台なだけあってちゃんと「鳥山石燕の百鬼夜行ものが流行っていて――」みたいに書かれていて、嬉しくなった。小雨坊、というサブタイトルの物語もあったし。その辺はもう妖怪好きにはニヤニヤが止まらない。

 

 

 

さて妖怪。

面白いことに、今暮らす環境には妖怪じみた部分があまりにも少ない為か、妖怪について想いをめぐらす時間がめっきり減ってしまった。

多分、これは、本当にあることだと思う。

高層マンションに囲まれた小奇麗な街並みを前に、「ほれそこに垢嘗めが」なんて考えられないのである。

妖怪と自然というのは、セットなんだな、と僕は最近痛感している。

 

帰り道。駅から出て車通りの絶えない国道沿いの道をずれて横に入ると、最短ルートではないのだけれど、一軒の和風の屋敷がある。

某大手企業の本社ビルの真裏で、なんでそんなところにポツンとそんな屋敷があるのか不思議なのだが、僕にはお気に入りのルートになっている。

ほんの少し大通りからずれただけなのに、街灯も極端に少なく、樹が鬱蒼と茂り、コウモリまで飛んでいる。

普通に考えたら非常に怖くて、不気味な細道なのだが、僕はすごく安心した気持ちになってそこを歩ける。

たぶん、そこには妖怪がいるのである。出てきやしねぇけど。

 

僕の担当の2店舗では、なぜか50歳以上の従業員しかいない。上は70歳までいる。

そういう年配の人たちの言い回しや、過去のことを聞くのは楽しい。

最年長のおじいちゃんには、農作業の話や病気の話、女を抱くコツの話、競馬の話など、色んな古風だけども面白い話をいつも聞ける。今でも両親の死を悲しんでいて、初恋の相手への失敗を悔やんでいる。ただのじいちゃんも、そういう話を聞けば聞くほど、同じ人間だと実感できる。そういう話を聞くまでは、記号としての「じいちゃん」としてしか捉えていなかった自分の冷徹さにも気付く。

 

僕は未来より過去が好きなのかもしれない。

未来はこれから来るけれども、過去は絶対にもう体験できないから。

 

むかし北国に翁あり。子孫のためにいささかの田地をかひ置て、寒暑風雨をさけず時々の耕作おこたらざりしに、この翁死してよりその子、酒にふけりて農業を事とせず。

はてにはこの田地を他人にうりあたへれば、夜な夜な目の一つあるくろきものいでて、 田をかへせ田をかへせ、とののしりけり。これを泥田坊といふとぞ。