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妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

失念坊の個人番号譚

『妖怪へぇこいたの手記』

記憶力の悪さには自信があります失念坊ことへぇこいたで御座います。

何度も嫌味ったらしく自慢気に言いますが、僕は最近大層忙しいお店へとぶっ飛ばされまして、単純に作業量も数倍、となりゃ当然お客サンの数も数倍、ただでさえ客の顔なんざ覚えておけない大変残念な店長であったのに、今は覚えなきゃならない顔の数が膨れ上がったせいで、客数に比例して「覚えられない数」も増えちゃいまして、数分前にいらっしゃったお客サンですら「はてどなたかな?」ってな状態。
 
それはさておき。
何でもかんでもとりあえず番号振っとけ社会の現代、遂には「個人番号」なんつぅ禍々しいモノが始まりまして、もうほとんどの方もその番号の通知をもらってるかとは思うんですが、極端に言えばその個人番号なるものには僕の大切な情報が凝縮されてるわけで、自分自身そのものって言えなくもないと思うのです。言えなくもない、と思うことにするのです。
となると、その番号を誰かに盗まれたり、失くしたりするということは、自分自身を失くすようなもの。タイトルに合わせて強引に流れを作ってますが、まぁとにかくそういうように失くしたらヤバイ、のです。
 
で、失くしたわけです。
しっかりと通知カードは届きました。というか、届いたらしいです。
しかし僕はなぜか、それを個人番号の記されたものだと知らず、どっかに放っておいたのです。
彼女曰く、
「どうしてそんなところに置くの? って思うようなとこに置いていてた」らしいのですが、天下にその名の轟く失念坊、まさかそんな細事は覚えちゃおりません。
そもそも区役所や市役所から届く封筒なんて、大体が見たくもない督促状だったりすることがほとんどでしたから、区役所の三つの漢字のどれかが見えた段階で「コイツ、ワルイヤツ」と僕の脳が認識してどっかにぶん投げちゃうクセがついてたんですね。
が、年末調整やらで番号が必要になり、ちゃぶ台ひっくり返して畳引き剥がして天井裏のネズミの死骸こねくり回して探したんですが、見つかりませんでした。
 
「これは……妖怪の仕業だ!」
 
と言ってみつつ、すぐに区役所行って失くしたからもう一回下さいと伝えると、ちょっとそんな人来たことないーーみたいな感じで軽く区役所(の出張所)はザワザワ。
出張所のおばちゃんは、色んなとこに電話した挙句、住民票に記載あるから、それでいい? カードはいらないわよね? と。
いやいや何勝手にカードいらないとか決めてんだよそんなのーー
「全然いりません、それでお願いします」
おばちやんは最後に、「今回だけは特別に無料でいいですよ」と言って小さくウインクしました。いや別に普通に払うのになんだよ気持ち悪いな青女房みてぇな顔しやがってーーとは言わずに、精一杯の苦笑いをかまして区役所を後にしました。
 
今回は失念しないよう、しっかりとスマホで撮影し、今度は失くさないように、どこかそこらへんにほっぽり投げました。
 
 
はてなブログのログインパスワード、銀行のパスワード、免許証の番号、マンションの郵便ポスト開ける為の番号、今年が平成何年で西暦何年なのか、来年は平成何年で西暦何年なのか、母親の誕生日はいつだったか、今日は一体何月何日なのか、今何時何分なのか。
 
よく考えてみると僕らは数字にがんじがらめにされているようで。
でも数字がないと恐らくうまく生きていけないと思うわけで。
失念坊にはつらい世界なのです。