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妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

『キュウモウと魔法の狸』

キュウモウ狸

 なんとなくハリーポッターのタイトルっぽくしたかったけれど狸が最後に付く時点でどうにもならなくなってぶん投げた。

というわけでメガンテ。

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岡山県に伝わる、火事を報せたり牛馬を守護する神として祀られている狸が、キュウモウ狸だ。

別名魔法様(まぼうさま)と呼ばれるキュウモウ狸は、全国の有名狸の中でもちょっと珍しい狸である。

何が珍しいかと言うと、海外から来た狸なのだ。

はいはいどうせ中国でしょう、と思うかもしれないが、なんとキリスト教宣教師達の乗った船に紛れ込んでこの日本に来たのだというから尚珍しい。

とはいえヨーロッパ出身というわけではなく、どの国からやって来たのかはわからないようだ。

化けるのが上手い、と伝わる一方、化けてもすぐにばれる、という伝承もある。

なんでも下半身は短く髭もじゃのなんとも妙な人間に化けるから、すぐにバレてしまうのだとか。そして正体を言い当てると、「すまんすまん」と言ってすぐに逃げていくのだという。なんだか可愛い。

さてそんなキュウモウ狸が守護神となった謂われは、ある日キュウモウ狸が村人達に、今まで世話になった礼として、牛馬の守護と火難盗難を報せることを約束したのだとか。

 

ところで一体その「魔法様」という呼び名はどこから来ているのか?

これは、キュウモウ狸が祀られることになった場所は、かつて摩利支天(陽炎を神格化した神で、陽炎の特性から火事などを除けるなどと言われていたりした)を祭る社があったようで、その摩利支天の法力――転じて魔法――を持った狸ということで魔法様と呼ばれるようになったのだとか。

なるほど火事にも効くのはそこからだったようだ。

 

また、キュウモウ狸は棲家を加茂の銅山にて見つけて暮らし始めるのだが、よく月の出る夜になると「サンヤン、サンヤン」と叫びながら農具を叩き鳴らして踊っていたという。

これはキュウモウ狸の出身地のヒントなのでは?

と思い調べてみると、インドネシアのバリ島に、サンヒャン・ドゥダリという踊りがあることを発見した。

これは素直に発音すれば、「サンヤン」であり、ケチャの原型にもなっている憑依舞踊でもある。

初潮前の若い女性が、土地の災いや凶作を避けるべく舞うものであり、月の出る夜に行う。

YouTubeにも動画があったので見てみると、後半で確かに「サンヤン」と唄っていた。

これはキュウモウ狸がインドネシア出身だという証拠になりはしないだろうか?

折角なのでその踊りの動画を貼っておく。ケチャっぽい男性が歌う部分がすっごく不気味で最初ドン引きしたが、そのうちクセになってきた。

キュウモウ狸が踊っていたのも、もしかしたらこんな感じの踊りだったのかも知れない。