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妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

目を閉じ祈るの怪

『妖怪へぇこいたの手記』

自分の行動は全て把握しているものだと思っていた。当たり前なんだけれど。

自分で何をしているのかわからない――なんて状況、普通に生活していたらあるものではない。

が。

すっぽりと考えから抜け落ちていたのだけれど、日々の生活の中で随分と長い時間、「自分が自分の行動を全く把握できずにいる時間」というのがあるのだ。

睡眠中である。

そりゃそうだ、ってなもんだけど、あまりにも当たり前過ぎて見落としちゃう、ということはあると思う。

そういえば寝てる時って自分が何をしているのか全く知らない。

これってちょっと不気味なことだと思った。

 

で、一月ほど前から共棲しているわけだけれど、嫌でも自分の寝ている姿というのを自分以外の者に見られることになる。毎日。

彼女の話によると、まず僕は「いびきがウルサイ」らしいのだ。

最初、信じなかった。

僕の父親がいびきのうるさい人で、「あんなデカイいびきする大人ってイヤだわ~」なんて母ちゃんに同情すらしていたのだけれど、まさか僕もしっかりその特性を受け継いでいるなんて考えてもみなかった。

用意周到な彼女は、その様子をわざわざ動画に収めていた。

そこには、確かにいびきをかく僕がいた。

 

これはここでサラっと書く以上のなかなかのダメージがある。

「うそだうそだうそだこんなの僕じゃない!」ってな気分である。

ただ、そのぐらいはまだいいとしよう。僕は、いびきだけではなく、奇行をかなりの確率でするらしいのだ。

それは、「お祈り」である。

手を真っ直ぐ垂直に上げて、まるで擦り合わせるかのに手を動かす。まるで南無阿弥陀仏とでも言うかのように。

それも、動画で確認してしまった。

「いやいやこれ一体なんなの?」

と聞いた僕に、「自分に聞いてよ」と答えた彼女。そりゃそうだ。

この悪癖は、そうあるものじゃない気がする。

まさか、神仏を信じず妖怪に傾倒する僕が睡眠中に必死に天に祈っているとは!

まだまだこいたの悪行は続く。

さらに僕は、突然超高速で布団を全て奪い自分に巻きつけてしまうというのだ。

確かに、朝起きて寒そうにしている彼女を見て「暑いの?」とよく聞いていたが、そうではなく僕が布団を全て我が物にしていたからだったのだ。

睡眠中の奇行という怪異。

しかし僕は諦めずに無意識と戦う。

意識し、何度も繰り返し自分に言い聞かせることで、僕は「奪った布団を返す」ところまではできるようになった。

しかしそれはあくまでちょっと目が覚めた時にする行動であって、無意識で布団強奪するのは治らない。お祈りも変わらない。

無意識という妖怪と戦うには、僕はまだ僕を知らなすぎるのである。