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妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

師走の怪

『妖怪へぇこいたの手記』

師走という言葉の語源は、実は確たるものがないらしい。今知った。

あくまで全て〇〇〇という説、でしかないようなのだ。

 

――ここ数日間、何度か事故に遭いそうになった。

普段、決して人なんか飛び出して来ないような道で、突然主婦が駆け出してきたり、おじさんが無謀な横断をしようとしたり。

 

人々が何故か急いでいるのだ。

いや、多分、急いでいるのは僕も同じことなのかも知れない。

急ぐ理由なんてないのに。

 

師走という字は、もっと禍々しい「何か」を隠す為に強引にあてられた字なのではないか?

ふとそんなことを思った。

 

古来より存在する人智を超えた禍々しく凶悪な力。

浮かれているように見えるがそれは真逆で、人々はゆっくりと蝕まれていて、操られているのではないか。

師走の「し」は死だったのではないか。それを覆い隠し多くの俗説が生まれ、あたかもただ人々が駆け回る忙しい月のように見せかける。本当は、今もまだ「シワス」の禍々しい力は働いているとも知らずに。

 

――昨晩、嫌な夢を見た。

乗っている電車が人を轢いてしまう夢。

電車から降りた僕は血と肉とを見て、ゾッとする。

普段夢を覚えていることは滅多にないのだけれど、昨晩の夢は忘れなかった。

 

そして今朝、仕事の関係でどうしても電車に乗って他店舗に行かなきゃいけない状況になった。滅多に乗らない電車。

そして電車に乗り、重苦しく薄暗い空を眺めている時、昨晩の夢を思い出した。

「人々は蝕まれているのだ」

「急いているのだ」

「死へと走りたがるのだ」

「昨晩見た夢が無意味なものだと思うのか?」

凄く不安になった。

そういうことなのだろうか。

偶然珍しくこんな時間に電車で移動することになったのは……記憶している夢を見たのは……そういうことなのだろうか。シワスが人を殺す瞬間を僕は見なければならないのか。これから……この電車が……人を……。

 

――そして。

何事もなく僕は自店へと戻り、夢と現実との不気味な符合に心の中でケチを付けながら、今日が29日であることを思い出し、「おにくの日か……」と呟くと同時に最近お肉を食べていないことに気づき無性に肉が食べたくなった。

そして今、魚肉ソーセージを齧り「コレジャナイ感」を強く感じながらこの記事を書いている。

そんな師走の怪。