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妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

ふつうだから食べるのです~一目五先生~

一目五先生(いちもくごせんせい)

一目五先生はかなりマニアックだが、中国に伝わる妖怪である。

五匹の妖怪で成り立つ変わった妖怪で、常に先頭を歩く一匹のみ、一つ目が付いている。

他の四匹には目はなく、先頭の目つきを「一目先生」と呼び慕っている。

 

この一目五先生は疫病が流行るようなタイミングで現れると云い、先生の指示で人間の匂いを嗅いで回るのだとか。

一匹に嗅がれれば病に罹り、更に他の一匹に嗅がれれば悪化し……というようにどんどん嗅がれる数が増えるほど病は重くなり、全員に嗅がれてしまうと死んでしまう。

 

しかし一目五先生の匂い嗅ぎには特徴がある。

 

――ある時、旅館に泊まっていた男がなかなか寝付けずにいると、一目五先生が突然現れた。

息を殺して見ていると、一目五先生は旅人達の部屋を確認しながらなにやら喋っている。

「一目先生、この部屋の人間はどうでしょう?」

「駄目だ。この人間は善人だ。善人は食っちゃならん」

「一目先生、じゃあこの人間はどうでしょう?」

「これも駄目だ。この人間は熱心に修行を重ね、運も向いている。ならん」

「先生、じゃあこの人間は?」

「こいつは一番駄目だ。大悪党だぞ。こんなひどい人間を喰ったら腹を壊してしまう」

「しつもーん。じゃあどんな人間ならいいんです?」

「そうだな……お、この人間なんか最高だぞ。善い事もしていなければ悪いこともしない。こういうつまらん平凡なヤツこそ、食うべきなのだ」

「なるほど。いただきまーす!」

一目先生に言われたらしい人間の元に五匹は集い、順番にくんくんと臭いを嗅いでいった。

するとその人間は臭いを嗅がれる度に弱って行くように見え、さらに臭いを嗅ぐ度に一目五先生達の腹は膨れていくのだった。

 

 

さて、これは一体どういう教訓を込めた逸話なのだろうか?

普通でいることを良しとしていない珍しい逸話なだけに、ちょっと頭が混乱する。

かといって悪くあれというわけでもなさそうだし。

善人も悪人も「食えないヤツ」。

そういうことか。