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妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

七夕なので首と体が出会う話でも

『妖怪へぇこいたの手記』

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織姫と彦星は出会えたのだろうか?

台風が近づいているから、天の川も結構荒れているかも知れない。心配である。

 

さて。

何も出会いを願うのは人だけではない。

人の「首」も、「体」と出会いたがっているのだ。

今宵はそんなふざけたお話を黄表紙『狂言末広栄』よりご紹介。

 

 

――あるところに「お六」という名の美しい女が住んでいた。

お六には心から愛する要之助という夫がいた。要之助は歌が好きで、ある時歌の勉強の為に京へと一人こっそりと旅に出た。

お六はなかなか戻らぬ要之助の身を案じ、あまりにも首を長くして待つあまり、本当に首が伸びて夫を探しに行ってしまった。

慌てたのは家の者。

「お六ちゃんの首が行方不明だ!」

と隣家をも巻き込みお六の首探しが始まる。

首と体は繋がっているから、手繰り寄せればいいものを、そんな野暮な事をする者は一人もいなかったようだ。

 

一方、京へと夫を探しにやってきたお六の「首」は、偶然出会った家の使用人とばったり出会い、世話になっていた。

「お世話になりますぅ。でも寝る時は枕だけあれば大丈夫ですから。ただ体の方ではないのでお米だけは恵んでほしいかも……えへへ」

 

最早夫を探すという主目的など吹き飛んで、次第に体に逢いたくて逢いたくてたまらなくなってくてしまったお六。使用人に頼み込み、体と再会するための旅に出ることに。

一方、体の方も、京へと行ってしまった首と会うべく、家の者を従えて旅に出た。

道中、首の方は気楽なものだが、体は大変である。首が水をがぶがぶ飲めば小便をしたくなり、首がガツガツ飯を食えば大便もしたくなる。しかし顔を持たぬ体は、手招きなどのジェスチャーで従者にその意を伝えるしかない。

 

そしてついに再会の時。天竜川を挟み対峙した二人(?)は、互いの事を心配し合う。

「体! よくぞこんなところまで来てくれたね! 大丈夫? 疲れてない?」

体は応えられないので、ただモジモジしながら手招きをする。

代わりに従者が、「お六様のお顔、久しぶりでございます。この時をどれだけ待ったことか!」と泣きながら言った。

涙なしには語れない、首と体の感動的な再会。

お六は最後に、「ろくろ首、ダメ、絶対」と胸に誓ったという。

 

 

そういえば、織姫と彦星と言えばベガとアルタイルとも言う。

ベガとアルタイルと言えば夏の大三角も思い浮かぶ。

じゃあデネブは?(夏の大三角の一角)

と思って調べてみたら、和文では「鵲(カササギ)」となり、天の川に橋を架けるのが鵲らしい。

それを知ってちょっと幸せな気分になった。

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