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妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

海坊主(うみぼうず)と海難事故

海坊主

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北尾政美画『夭怪着到牒』
 
 
海の妖怪の中でも特に有名なのが海坊主だろう。坊主、とは付くが、坊さんの格好をして現れるとは限らない。
 
伝承の多くは、海に突如として現れ、船を破壊したり大波を起こして難破させるーーというもの。
 東北地方には漁の最初に獲れた魚は海坊主に捧げる意味で海に投げ入れるという風習もある。
 
海坊主と報告されたもののうちのほとんどは見間違いによるものだと思われる。
入道雲、跳ねた魚、大波、大岩。
不安定な心の状態で夜の海を進むと、何らかの幻視は起きてしまう可能性が高いのだ。
そして多くの地域で海坊主のことが語られるのは、やはり「海をなめたらあかん」という教訓のためだろう。
中には海坊主に遭遇したら荷を捨てれば助かる、という具体的な対処法も伝わっており、海坊主の正体が大波や自然現象であったことが窺える。
しかし、やはり海では解明できない、もしかしたら海坊主かも知れない――という事故が多く発生している。
 
海坊主が単なる幻覚ではないかも知れないと思わせる、実際に起きた恐ろしい海難事故を挙げてみる。
 
ワラタ沈没事故
1909年7月、200名を超える乗員乗客を乗せたイギリスの貨客船ワラタが、突如消息を絶った。サイクロンが原因との話もあるが、未だに破片も遺体も全く見つかっておらず、謎のままである。海坊主の可能性も充分に考えられる。笑っちゃだめ。
 
キャロル・ディアリング号乗員消失事故
1921年、ノースカロライナ州沖を進んでいるところを目撃されたのを最後に、商業船キャロル・ディアリング号が同海域にて座礁。しかしなぜか乗員が全員いなくなっており、原因も解っていない。海坊主に食われた可能性がどうしても捨てきれない。
 
日進丸消失事故
1952年、定置網漁に稚内沖へ出航した日進丸が行方不明になった。
強風が原因と言われているが、海坊主に転覆させられた可能性も残っている。
 
みどり丸失踪事故
1953年、福島県の漁船「みどり丸」が宮城県の金華山沖で消息を絶った。在日米軍の協力も得て大捜索したものの、わずかな道具しか発見できないまま捜索打ち切り。乗員51名全員が行方不明。海坊主に沈められたとも考えられる。
 
メアリーセレスト号事故
未だ航海史上最大の謎とされているメアリー・セレスト号の乗客乗員失踪事故。
1872年にポルトガル沖を無人で漂流しているのを発見された。
多くの解釈がされるこのメアリーセレスト号だが、海坊主の仕業説が無いのはなぜなのか。
 
 
過去にも海に纏わる妖怪は紹介してきたが、海は未だ謎が多過ぎる場所でもあり、一概に「いない」と言えないのが本当に面白いところだと思う。
それこそ海底に都市があったり、城があったって別におかしくない程に、海の懐は広く深いのだ。航海などその薄っぺらな表面を行くだけに過ぎず、その下に広大な世界が広がっているわけで。
ワクワクする反面、底知れぬ怖さも感じる。
海にはやっぱり何かある。