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妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

妖怪「鍵隠し」~施錠初夜~

『妖怪へぇこいたの手記』

失せ物とは一体どのように「消えて」しまうのでしょうか。

記憶の中では確かに「そこ」に入れておいたはずなのに、ない。

 

――以前書いた気もしますが、僕は引っ越してきてからすぐに、鍵を失くしました。

変なところで細かいくせに、また変なところで無神経な僕は、「まぁいいか」と、今日という日まで外出時に鍵をかけずに出かけていました。

そのせいかは解りませんが、過去三回、帰宅すると僕の部屋の玄関ドアが全開になっている――という恐ろしい体験をしました。何も取られてませんし、多分風です。

流石に最近はちょっと心配になり、鍵の大捜索もしたのですが、結局見つからず終いでした。

大家に言うのは面倒でしたし、何よりお金を取られたらやだなぁ――なんてケチっていたのです。

 

今日。残業を終えて帰ろうとした時、いつも仕事に持って行っている小さ目のショルダーバッグから、花粉対策の飲み薬を取り出そうと思い、メインの袋ではない小さな袋の部分を開けました。

と、間違えたのです。そこではなく、反対側に付いているポケットにクスリはある。

しかしその時、間違えて開けたポケットの中に、見慣れぬ「鍵」を見つけたのです。

 

「あぁ、朱美の家の合鍵か」

 

――なんて、全く知らない女性との同棲生活を想定してみたりもしましたが、どうやら違う。そしてしばらく考え、思い至ったのです。

「うちの鍵か!」

と。

 

帰宅した僕は、家に着いてから外から鍵をかけてみる――というあほくさい愚行をする羽目になったのですが、やっぱりその鍵は僕の部屋の鍵で、数年振りに外から施錠する音を聞きました。

 

妖怪鍵隠し。

神隠しなら恰好もつくけれど、鍵なんてみみっちい事をするもんです。

しかしまさか、毎日身に着けているバッグのポケットに入っているとは思いませんでした。

というか逆に考えれば、毎日身に着けていたのに、数年間開けなかったポケットが存在した――ことの方が凄いです。

まさに盲点。

いつも常に近い場所にあったにも関わらず、それに気付かず、見えていない僕にとっては完全に「無い」ものになっていたのです。

 

「この世には不思議なことなどないのだよ、関口くん」

 

と京極堂が漆黒の闇から立ち現れてウンチク垂れてくれそうな気配がします。

『姑獲鳥の夏』なんてまさにそういう仕掛けでしたし。

 

 

ただし。

この話はただの僕のうっかりミスでは終わりません。

なぜなら、僕が毎日使用しているバッグは、間違いなく、鍵を失くした(と思っていた)後に買った、比較的新しいものだからです。

帰って来てからずっと考えてますが、その点については間違いがないし、本当になぜこのバッグに入っていたのか解らないのです。

 

そんな時の、妖怪「鍵隠し」です。