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妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

妖怪浮世絵の出来るまで

浮世絵妖怪画ができるまで

 

この妖怪図鑑でも、多くの妖怪画を紹介してきました。そしてそのうちの多くが「浮世絵」と呼ばれるものです。

偉そうに言えないんで最初に断っておきますが、僕もそもそも浮世絵というのがどういうものを指すのか知りませんでした。しかし調べてみると、色々と勘違いしていることが出てきたので、合わせてここで紹介してみたいと思います。
 
二種類の浮世絵
 
浮世絵は、肉筆浮世絵と版画による浮世絵の二種類があります。肉筆浮世絵というのは名前からも連想できるかとは思いますが、絵師が丹精込めて一枚の絵を直接描くものです。故に肉筆浮世絵は基本的に世界で一枚しか存在しません。
一方の浮世絵版画は、版画ですから複製が可能で、実はほとんどの浮世絵はこの版画です。紹介してきた妖怪画も、多く刷られて庶民に愛されていたものが多く、むしろそのお陰で妖怪が広く親しまれるようになったとも言えるのでしょう。
 
浮世絵版画は一人で作るものではない
 
これは知ってましたが、一応。
どうしても下絵を描いた絵師だけが有名になっちゃいますが、浮世絵はほとんどが版画であり、絵師以外にも彫り師、摺り師が必要です。
浮世絵版画作成にはこの彫り師摺り師が不可欠であり、絵師一人だけでは完成させることはできません。
(更に、絵を作らせる出版社的な立ち位置の、版元、という存在も忘れてはなりません。浮世絵のほとんどは版元が依頼した、あくまでも商業的な芸術作品であった、ということです)
 
浮世絵作成の工程
 
さてでは浮世絵が完成するまでの流れを見てみましょう。
  1. 絵師が絵を描くーー当然元になる絵がなければ始まりません。全ての元になる下絵を絵師が描きます。
  2. 彫り師が彫るーー彫ります。因みにこの工程で一度モノクロ版が作られ、絵師に渡されます。それを元に絵師は今度はどのような色にするかを考え、彩色します。それをまた彫り師が受け取り、今度は色をつけるための版を彫っていきます。
  3. そしていよいよ摺り師登場。何を隠そう、もっとも職人技が必要とされているのがこの摺り師。多色刷りの場合、色の数だけ版があり、それらを僅かな狂いもなく重ね合わせて摺らなければならないのです。因みに当然グラデーションを付けたりするのも摺り師の技。摺り師は浮世絵作成の工程の中でも、とびきり重要で難しいポジションにいるのです。

 

こればっかしは書いてもピンと来ないでしょう。時間があるのならば、ぜひ↓の動画を見てみて下さい。彫り師、摺師がいかに大変かがとてもよくわかります。

 

こちらは彫り師メインの動画。最後の方で、「何より難しいのは美人画」とおっしゃってますが、あの髪の毛一本一本も、周りを丁寧に掘っていると考えると気絶しそうです。すごいなんてもんじゃないです。
 
 

こちらは摺師の妙技が堪能できます。

色を指定されたのとズレないように感覚で作っていく様は神業。っていうかなんであんなにピッタリとちゃんと一枚の絵にまとまるんでしょう? 色ごとに摺ってるのに。

 

――で、完成。
現代のようにコピー機だの印刷機だのも無い時代。庶民に親しまれる妖怪画も、沢山の職人達の洗練された技の上に成り立っていたのです。
 
こういった事を知っているだけでも、今まで見てきた妖怪画も少し違う視点から見れるはずです。
なんとなーく眺めていた妖怪画の線一本一本が、描かれ、彫られ、そして摺られた挙句に現れた線だと思うとなんだか感慨深いです。それも膨大な時間をかけた上で、です。
この項ではあえて、絵師達よりも裏で浮世絵の浸透を支え続けた彫り師と摺り師の職人達に拍手を送りたいと思います。