読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

妖怪水木しげるの力~僕と妖怪を出会わせたモノ、あと生まれの話とか~

『妖怪へぇこいたの手記』

暑い日が続いております。

七夕付近のしんどいアルバイトを乗り越えて休日を迎えても、うだるような暑さに辟易してしまい、これならクーラー効いた中で働いてる方がマシだ、なんていつになく職場の事を休日に恋しがってみたり、こんなに暑くちゃ干上がっちまうぞなるほどこれはひでりがみの仕業か、なんて、すっかり日常の思考にまで浸透してきた妖怪さん達に思いを巡らせてみたり。
そしてふと今までこの妖怪図鑑に投稿してきた記事数を確認してみたら400を超えてました。最初目標にしていた500まであと100。多分、ここからの100は長く険しい道程になるでしょう。そんなことはどうでもいいんですが。
 
 
――さて、最近僕は過去を振り返り、実に不思議に思うことがあります。
それはまさにこのように妖怪図鑑を作っている源である妖怪好きパワーについてです。
今宵は少し道を逸れて、僕が妖怪と出会ったお話を書いてみたいと思います。
 
僕は現在、調布市に住んでおります。もう結構長い事、同じボロアパートで頑張って踏ん張っているのですが、調布と言えば水木しげる先生が現在居を構えているところでもあります。故に妖怪検定も調布と境港の二か所で受けられますし、ゲゲゲの女房の時にも深大寺は大いに賑わった(僕は知りませんでしたが)ようです。
 
で、こういう妖怪図鑑だのを作っている僕だから、わざわざ水木先生と同じトコロへ越してきたのだろうと思う方もいてくれるかも知れませんが、全く違います。
ここへ越してきた当時、僕はバンドマンでした。こう見えて(見せた事ありませんが)ドラマーだった僕は、ギターのメンバーが三鷹へ越してしまった為、後を追うようにこっちの方へ越してきたのです。
僕は三鷹駅前のエイブルに通い、格安物件を紹介してもらい、即決しました。
三鷹と言えば、ジブリの美術館だのがあるので、なんとなくいいイメージでした。緑も多くてトトロもいる! ……なんて思っていたのに蓋を開ければ調布市内の物件。確かにギリギリ三鷹から外れているだけで、三鷹と言い張れば騙されてくれる人もいるとは思うのですが、とにかく三鷹市とは違う色のゴミ袋をかわにゃならんのでどう足掻いても調布市在住なのです。
面白いことに、当時は妖怪の「よ」の字も知らぬ自称パンクロックスピリットの持ち主でした。しかしその後バンド活動も終わり(ご多聞に漏れず色々あって解散)、気付けばなんの社会的地位も無いただの男へ。
ひたすらにアルバイトをしながら、原付も買ったりしました。
調布ナンバーには、なんと鬼太郎の絵を付けて貰える嬉しい特典があったのですが、先にも書いたように妖怪のよの字も知らぬ僕は「いりません」と即答。
当然今は激しく後悔しております
 
解散したバンドメンバーの中に、北海道に住む者がいました。現在は北海道へ帰って大学で勉強し直す、なんていうなかなかの頑張り屋さんであります。
その彼は、押井守とラーメンズと京極夏彦が大好きでした。
よく一緒に絵を描いたり、パソコン上で音楽を作ったりと、バンド解散後も仲良くしていたのです。
時は流れてそんな彼のことも忘れ、ただただバイトする日々が続きました。
そんな時、ふと彼が言っていた「京極夏彦は天才だ」という言葉を思い出しました。
押井守は僕も好きになってましたし、その時思い出したのがラーメンズでも良かったわけなんですが、本当になんとなく、「ならその天才の書いた本とやらを読んでみよう」と思ったのです。
そして読んだのが巷説百物語。
なぜ姑獲鳥の夏を読まなかったのかは未だに謎ですが、多分その時の僕には漢字だらけの時代物臭プンプンなタイトルの方が気になったのでしょう。
とにかく面白かった。
僕はその本で妖怪と出会います。
しかしそれきっかけで妖怪にハマるわけではなかったのです。
妖怪が面白いというよりは、京極夏彦の本が面白くて、その中の雰囲気がたまらない、という感じです。
しかし既にその時、調布より発せられる、大妖怪水木しげるの力は静かに僕にも作用していたものと思われます。
 
そしてまた幾日かの後、突然僕はブログで妖怪のことを書き始めたのです。
こればかりは本当に理由が解りません。だから水木しげるパワーとでも言うほか無いのです。
因みに、僕が水木先生がこの辺に住んでるのを知ったのはブログ初めてからずっと後です。そりゃもう運命感じちゃいました。
ただ、水木しげる先生へのイメージは「墓場で運動会する吉幾三」程度のもので、よく解ってませんでした。
 
――話が水木先生に引き寄せられちゃいましたが、とにかく、妖怪が僕を惹きつけた理由としては、妖怪が醸し出す独特のにおい(雰囲気)が関係していると思います。
日本独特の、季節の匂い、文化の匂い、厳粛で神秘的な匂い。それらを妖怪から嗅ぎ取ることができたことが、僕が妖怪にハマった一番の原因かもしれません。
 
実は僕は、実家が神社でした。しかも長男として産まれました。
しかしそれは凄くコンプレックスでもありました。
産まれた瞬間から行くべき道が決まっている。
厭で嫌でたまりませんでした。
だから、事あるごとに反発し、結果的に家を飛び出すことにもなりました。
成り行き上跡を継がねばならなくなった弟には本当に申し訳ないと思っています。
しかし、僕は後悔はしていません。
経済的に安定したかも知れない。今よりずっと落ち着いて生きていけたかも知れない。
でも、何度人生をやり直しても、僕は同じ選択をしたように思います。
 
神社という言葉も、存在も、全てが嫌いになりました。
でも、妖怪と出会った時、僕は体に染みついていた祭りのお囃子の音や、盆踊りの騒音、誰もいない静かな境内などが、美しい思い出として蘇ってきたのです。
妖怪は、ぼくが決して神社を嫌いになったわけではないことを教えてくれた気がします。両親を嫌っていたわけでもありません。むしろ心底感謝しています。
恐らく僕は、「神社の跡取りとして産まれてしまったこと」こそを憎んでいたのかも知れません。
 
最近では、弟に電話して神道に関係する妖怪のことを聞いたりもしています。
妖怪を通して宗教の持つ力や必要性もなんとなく解ってきたつもりではあります。
妖怪が、僕を随分まともにしてくれたのです。
 
京極夏彦と、水木しげると、僕自身の過去が、妖怪との出会いを演出してくれました。相変わらず曖昧でよく解らない妖怪というやつは、僕をどんどん変えていく力も持っているようです。
日本人にしかその微妙なニュアンスを感じ取ることができないであろう妖怪ですから、きっと必ず、僕以外の人の心にも何らかの変化を与える力を妖怪は持っているはずなのです。
だからみなさん……
 
この妖怪図鑑、使ってね☆(*´σー`)
 
あと、調布市在住の皆様。僕と同じように、全く見えないけれど強力な「水木しげる妖力」には抗わずに身を任せるといいと思います。きっと憑かれて幸せになれます。