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妖怪うぃき的妖怪図鑑

妖怪うぃきから産まれた妖怪図鑑ブログ。妖怪の原点に触れ、もっと魑魅魍魎を知るきっかけになれば幸いです。

おもゐつゝら

『新形三十六怪撰』
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『新形三十六怪撰』より「おもゐつゝら」

 

おもゐつゝらは、舌切り雀の話において欲張りばぁちゃんが開けちゃった大きなつづらの事。

転げているばぁちゃんの方がむしろ妖怪みたく見えてしまうが、普通の人間である。

まさかとは思うが「舌切り雀」の話を知らない人の為に、舌切り雀の物語をざっくりと僕風で書いておく。

 

あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。

ある日おじいさんは、昇天しかかっている雀を見つけ、助けてやりました。

助けた後もおじいさんは雀を可愛がりました。

しかしまたある日、雀はおばあさんが障子の張り替え用に保存していた糊を食べてしまいました。

それに怒ったおばあさんは、雀の舌を引っ張り出し、ちょんぎってしまい、雀はそのまま泣きながら逃げて行きました。

「おいババア、わしの雀ちゃんはどうしたんじゃ?」

「はぁ? あんな泥棒雀、舌を切って追い出したわい!」

「!!!」

おじいさんはすぐに雀の後を追いました。ごめんよ雀さん、あんな鬼婆のせいで……

雀の後を追って行くと、おじいさんは山の中の雀のお宿へと辿り着きました。

「雀ちゃん! ごめんよぉぉぉ」

その優しいおじいさんの心に感動したのか、雀達はおじいさんに沢山の御馳走を与え、さらに帰り際、二つの葛籠をおじいさんの前に置いて言いました。

「これもささやかなお礼の内。大きい葛籠と小さい葛籠、お好きな方をお持ちください」

「(え~、大きいのがいいなぁ~。でもわし、非力だから持って帰れないかもなぁ~)それならば小さい葛籠を頂きましょう」

そうして雀達に見送られ家に着いたおじいさん。帰ってから小さい葛籠を開けてみると――なんとびっくり、沢山の金銀財宝が出てきたではありませんか。

「雀ちゃん、本当にありがとうねぇ」

めでたしめでた――

「ちょいと待ちな! 実は私もあの雀ちゃんには悪かったと反省してたんじゃ。ちょっと行ってくる!」

「え……」

強欲なおばあさんは、おじいさんの貰った葛籠を見て、自分も欲しくてたまらなくなったのでしょう。すぐにおじいさんに聞き、雀のお宿へと向かいました。

すぐに雀のお宿へと着いたおばあさん。しかし雀達も流石にドン引きです。

「雀ちゃんや! 私も心配で後を追って来たよ!」

「……」

半ば強引に御馳走を出させたおばあさん。

そして帰り際、雀達は二つの葛籠をおばあさんの前に置きました。

「これもささやかなお礼の内。大きな葛籠と小さな葛籠、お好きな方をお持ち帰りください」

「ありゃ? いいのかい? なんだか悪いねぇ。私はこう見えて足腰は丈夫だから、遠慮なく大きい葛籠をもらおうかねぇ」

そうしてまんまと大きな葛籠を貰ったおばあさん。

しかし帰り道、重くて重くてなかなか進めません。

「はて。一体どれだけすごいお宝が入ってるんだろうねぇ? ちょっと覗いてみようか」

強欲おばあさんは家に帰る前に中を見たくなり、蓋を開けてしまいました。

すると――

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「うべぇあああああ!!!」

強欲おばあさんはそのまま気絶し、中から出てきた妖怪に食い殺されてしまいましたとさ。めでたしめでたし。

 

 

――と、こんな感じである。

尚、おとぎ話の類は現代ではソフトな表現に変えられたものが知れ渡っているが、元の話はグロテスクな表現が凄く多かった。

今上に書いた物も、話の最後は「おばあさんは気絶しちゃった」で終わるものがほとんどの筈。

実は雀のお宿に到着するまでにおじいさんは色々な人に道を尋ねる場面があり、教えてやる代わりに、と、おしっこを飲まされたりする。

子供向けの現代の「舌切り雀」ではそもそもそんな場面自体存在しないものが多い。

よく考えてみれば、雀の舌を切っちゃうというのもなかなか酷い。しかし流石にタイトルまで変えるわけにはいかなかったのだろう。

 

 

少し脱線したが、とにもかくにも、芳年が描いたのが舌切り雀に出てくる「おもゐつゝら」、重い葛籠であることが解ったところで、めでたしめでたし。